中の人

梅雨に入ってから、気が付くと猛烈に落ち込んでいた。

この時期の落ち込みは原因が無くて、
朝起きたら虫になっているように唐突に始まり、
そして虫のまま生きなくてはならないのだった。

空気がどろどろだし、5感の感覚が全て半分以下になる。

気力が無くなり、物凄く疲れる。特に選択に疲れる。

これは困ったなあ。。。。

今友達とセッション交換をしているんです。

私はアクセス・バーズの練習台になり、
友達は私の首や頭のマッサージを受ける。

アクセス・バーズを受けながら、急に気づいた。

あっ中の人がいなくなってる。

というより。

いなくなってわかった、私、中の人と共鳴して生きてたんだわ。

緑を見るとき。音楽を聴くとき。

「いいねー!」って私と中の人は同時に言う。

倍音、ステレオ。サラウンドになって、

感覚がぐーんと響くんだ。
エンヤの音楽みたいに、空気の綺麗な山の崖で歌っているように広がるんだ。

彼女がいなくなると、モノクロというか、モノラルというか、
人生が味気なくなるんだ。

そこまで一気に気づいた。

そんな中の人がいつの間にか居ない。気配も無い。

どこに行ったのだろう。消失したのか、出て行ったのか。

一つ一つを考えてみたら、彼女は糸の中にいて、全く反応が無い状態だった。

虫の繭に似ている。輪郭は見えるけど、真っ白だ。

動きもしないし、呼吸も感じられない。

これ、なんだろう。

休眠?仮眠?羽化準備?

そしてどうしてだろう。

季節?限界?次への何か?脳の問題?栄養不足?

そのあたりはわからなかった。

でもひとつだけ確信があった。

彼女は必ず目覚めるだろうから、

そのときどういう態度で私とやっていくかは置いておくにしても、

私もただ、動けないだの苦しいだのやる気がどうだの、

そんなことばかり言ってちゃ、いけない。

中の人は私と同じ名前だ。

今日は繭の前に立っているけど、何も言わない。

だから私は、少し元気。

また一緒に発声するのかな。

今度は和音になるのかも知れない。

おやすみなさい。