2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

自分を愛する

瘋癲さんと電話で話していたら、何かの会話の流れで彼が、「僕は自分を愛しているから」と言い、「だから、死にたくないんだよ」と、続いた。使用する言葉の選択に細かい彼から「愛する」という言葉を初めて聞いたのにも驚いたし、それが完全な形で自分に向…

青緑は青より綺麗であるべきか

私が緑として、相手が青として、一緒にいるとき、私たちは青緑だ。私は、それは単色とはまた違う美しさの色、そして絶対に綺麗な色でなくてはいけないと考えている。そうでなくては人といる意味が無い。人の存在と呼応し合って、二人の間の色を作っていく。…

一緒に

瘋癲さんの家、というより部屋、に行った。 相変わらずクラクラするほど散らかっていた。「この詩の解釈についてどう思う、僕はこう考えているんだけど」瘋癲さんは昔の、質の悪い紙で作られた雑誌に掲載されていた詩を開いて見せた。片仮名。繰り返し。怒り…

どんな顔だったか思い出せない

私は人の顔の判別が苦手で、全体の輪郭やフォルムに助けを求めて人を記憶する。同じ背格好の人は区別がつきにくい。加えて、身長が違っても、茶色のセミロング・痩せ型・眼鏡・色白、といった点が同じだと私にとっては相似形になるので、区別がつかない。以…

トラウマに再び近づいて

瘋癲さんが 「長く生活していた元恋人と共同研究をしようと思うんだけど、このアイディアについてどう思う」と聞いてきた。素敵なことだと思った。そう伝えた。次に昔のことを思い出した。大切な女友達がいると言われていて、実は友達を越えた関係の女性だっ…

優先順位

先日、「もし気があったら、恋愛を前提に、まずは一度お会いしましょう」という方と会ってきた。院卒、大手会社勤務、離婚、子供高校生、運動好きで煙草飲み、犬飼い。良い人だ。でも、瘋癲さんとの会話に比べたら、彼との会話の面白さは5パーセント以下だ…

腕の中へ帰る

瘋癲さんと私は身体のサイズが合うので、瘋癲さんが横を向いて両腕を私のほうに放ると、私が瘋癲さんの腕と胸の籠にすっぽり入る。筋肉が少なく脂肪がほどよくついて、皮膚がさらさらで毛のない彼の身体は私の首の下にあってもうっ血することがなく私の首に…