悲しい予感

瘋癲さんの家に泊まりに行くことになって、

職場から電車に乗りながら、意味も無く自分の中に悲しい予感がどんどん重く広がってくるのがわかり、不思議になった。

これ、なんだろう?

電話して、キャンセルしたほうが良いかな。

相当迷ったけど、迷ったときには前に進む
(そして迷いの感覚とその結果を体感として記憶する)
をモットーとしているので、行くことにした。

瘋癲さんはいつもより少し、よそよそしかった。
そして彼のオーラがとても固かった。

散らかり方や、物を放りながる動作から投げやりな様子が立ち昇った。

なにか、あったの。

と聞いたら、「あのね」と、パソコンの前に座ったまま、彼の中の憤りを話し始めた。

トツトツと、長く話した。

この感じ、前もあったな。

私がそこで感じたことを言ったら、ナンセンスだという様子で、うるさそうにされたっけ。

以前の憤りの内容とは違い、今回は研究に関する重めの、それにかけてきた時間と知識に加えてプライドが関係する問題だった。

これはこれは。

憤って当然。(のことだろう)

30分くらい、彼の話が終わるのを黙って聞いていた。

「僕の言ってること、わかる?」

と言われたので

「わかるよ、凄く」

と答えた。

その後銭湯にいき、ゆく道々もずっとその話を聞いた。

頭に来ることだろうけど、もともとは彼の行為が発端だ。

「してあげたのに」という、結局自分の為に作用するはずの偽恩義理の色が見える。

(本物の恩義理なら、結果がどうであれ憤りを感じない)

「こうしてあげればきっとこうして喜んでくれるだろう」という彼の中のストーリーが稚拙だったのだろうと思った。

(純粋な好意なら、結果がどうであれ憤りを感じない)

銭湯から上がると上機嫌になっていたので、良かったと思ったけど、

彼が急に昔の恋人の話をし、さらに、ある白人の映画女優の名前を挙げて、その昔その女優が彼の小さな部屋に遊びに来た話をした。

凄くセックスを匂わせる話だった。

どうして今、そういう話をするのだろう。

悲しい気持ちになった。
でも悲しさは私の勝手な感情なので、だまって聞いていた。

そういう話をされると私は悲しい、と伝える気にもならなかった。

(でも、どうして今そういう話をわたしにするのか、聞いてみたら良かったかも知れない)

前も他の女性から来たメッセージを見せられて、「かわいいこと書くよなあ」と言ってきたことがあった。

その時も、この人一体何をしたいのかなあ。。。と変な気持ちになった。

復活するのに手っ取り早く、軽く身近にいる人のマウントを取りたくなったのだろうと思った。

きっと、前ほどはもてなくなっているのだろうなと思った。

それともただ無邪気気持ちになっただけかも知れない。

まあ悲しく感じるのはこっちの問題だろうけど、

次に悲しい予感が広がったときは。

予定をキャンセルしてみよう。

そもそも予定をキャンセルすることなんて、よほどのことがない限り、しなかったけど、

次回、同じ予感がしてみたら、キャンセルしてみようと思う。

そうやって少しずつ、勘を磨いていって、
良くないものは跳ね除けるんだ。

そうやって、自分を守っていくんだ。
自分で。


おやすみなさい。