1か月振りに彼と会った

瘋癲さんとずっと会えなかった。

 

火曜日、金盥ちゃんのご都合が良ければ会いましょうね

と瘋癲さんからメッセージが来た。

カレンダーを見たら、

ぴったり、ぴったり1か月ぶりだった。

 

本当によく、我慢しました、私。

瘋癲さんちに行きました。

瘋癲さんは印税契約の翻訳に追われて忙しいけど、お金は入らないし、

塾講の仕事は減らされるしで、食い詰めているらしかった。

 

雨の中、コインランドリーのドライヤーへの道を歩きながら、

僕は貧乏の星の下に生まれているからなあー

と歌うように言っていた。

 

1か月ぶりのセックスは、私にとっては切なかった。

コンタクトを外す前に始まってしまったので、性交中、彼の顔がはっきり見えた。

彼は細い細い目をして私の顔を見ているときもあったし、挿入部分を見ているときもあった。

 

キスを沢山してくれたのが嬉しかった。

だってほら、キスがないと、「挿れるだけ射精するだけ」みたいで、

私としてはちょっと寂しいと感じるからだ。

 

机に座って翻訳を待っているとき

「引き出しあけていい?」

と聞いたら

「だめ」

と返ってきた

「どうして」

「いろいろ入ってるから」

 

私は引き出しを開けた一番手前にコンドームの箱が無防備に入っているのを知ってる。

彼がだいぶ前に買って、ひとつ自分でつけてみて、その後私とは使っていない。

引き出しを開けちゃいけないのは、きっとコンドームの数が合わないからなんだろうなと考えて悲しくなった。

寝るとき、瘋癲さんがドアに鍵をかけた。

そんなことをするのは初めてなので、それも変に思った。

 

ほかに女性が出入りしてそうだ。

でもそんなことも、私たちの間柄では追及できない。

 

仕方ない。

 

朝、瘋癲さんが

「あなたそろそろドトール行くんじゃないの」

と体よく私を追い出した。

彼は朝になってから熟睡するから、私がいるのが邪魔だ。

私が帰るとき、ぬくぬくした顔をしてうれしそうだ。

 

大好きなのにな。

私が望むような愛され方は、絶対無理で、

それは他で探すしか、無いんだな。

 

昨日もたくさん、たくさん体を撫でてもらって、喉を鳴らすくらいに幸福だったけど、

 

猫が家に来たら思い切り可愛がって、餌があったらあげて、なかったらあげないで、仕事があると外に追い出して鍵をかけてしまう。

彼はそんな可愛がり方を徹底する人。

今日は撫でてもらえるかな。膝にのせてもらえるかな。

私もそんな気持ちで。

 

私が去っても彼は何とも思わないから、関係の明るさは全て、すべてが私次第。

まだ終わらせたくない。好きの部分だけ抽出して、ウオッカみたいに透明に、嫉妬や憎悪を綺麗に濾過して、彼にぶつけていきたい。

 

今日は入れてもらえないや、帰ろ。

常にそんな気持ちで。

 

まだもう少し、頑張れる。

限界が来たら、自分で完全に壊して、ちゃんと別れる。

 

限界が来なかったら、一生会い続ける。

あなたが、そのくらい好き。

 

重いなーーー笑

日本一重いかも!

 

いいんです。

仕方ない。

 

おやすみなさい。