いるべき場所

今さっき瘋癲さんと別れて来た。

 

快晴の5月で、予約は無い。

 

当日予約が入るかも知れないし、入らないかも知れない。

 

あなたはこれからどうするの

 

と瘋癲さんが聞いた

 

わからない。こんなときは、私の居場所は、どこにもないんだなと思うの。

 

と答えたら、瘋癲さんが

 

今、ここに居るじゃない。

 

と言った。

 

そうじゃなくて、どこにも行くべきところが無いなって思うの。

 

あなたは家もあるし、病院に行けばお父さんもいるし。

 

そう行ってから瘋癲さんはいつもよりしっかりと、

 

今あなたの居る場所が、いるべき場所だし、ふらりと足を向ける場所が、行くべき場所だよ。

 

と言った。

 

どこにいても、例えばこの食器から、

 

瘋癲さんはドトールの器を撫でながら

 

どんなことからも面白みを感じられるんだ。

 

と言った。

 

べきとという考えを無くす方向もあるけどね

 

そして瘋癲さんは、アンドレジイドの鹿の話をしてくれた。

 

あなたは、えらいのねえ

と言うと

わざと重々しく、

えらいんだよ。

と返してきたので、私たちは笑った。

 

僕のおすすめは緑の中に座ることだけどね。

 

と瘋癲さんは行った。

 

ありがとう。

 

私は手を振って緑と反対方向に歩いた。

 

2時間かかるけど、父の病院に行こうと思った。

 

今電車に座っている。

 

総武線からの緑と、堀の水が綺麗だ。

 

ここが私の居場所です。

 

瘋癲さん、いつもありがとう。

 

私、本当にあなたが好きよ。

また、会えたら幸せです。