体は乗り物

同僚は皆、鏡を良く見る。

私は、ほぼ1日3回しか自分の顔を見ない。

朝起きたとき。むくんでないかな。

朝、化粧するとき。

夜、化粧を落としたとき。ちゃんとマスカラ落ちたかな。

終わり。

あとはトイレでもなんでも、自分のことはあまり見ない。

なぜなら、私の顔と体は、自分の美意識の中ではかなり不恰好なので、見る度にがっかりするからだ。

むろん、五体満足、たくましい骨、丈夫な心肺機能と内臓、もうこの上無く満足してしかるべき肉体、ではあるのです。

そしてもし、この顔に大きな傷が出来るようなことがあったら、現在の顔をどんなにか慈しんで、あのときの私は愚かだったと泣くだろうと思います。よく存じ上げております。

しかし。私はあまり自分の顔があまり好きでは無い。

体についてはさらに好きでは無い。

そしてその修繕というか、もう少し努力して「まし」にしてみようというか、そういう気力もあまり無い。

なぜなら、頑張っても「今よりは、まあ、まし」のレベルに過ぎないからだ。

今日、歩いている自分をショウウィンドウで見た。

姿勢はいいのに、不恰好だった。仕方が無いなあ・・・、と思った。

しかし自分の顔体を好きか嫌いかで、一生のご機嫌がかなり変わることには間違い無いだろう。

全世界が認める不細工でも、自分好みのルックスで生きていけるとしたら、ご機嫌だ。

そう考えると、返す返すも残念だ。

その上に年々古ぼけて来て、益々醜くなることこの上無い。

でも私は、ただ「酷いなあ」と思っているだけで、別に自分の顔体を憎んでいるわけではない。

むしろ正直で良いのではないか、と思っている。

好きなところは何箇所かある。

髪の毛。肌。でも体のバランスはとても悪い。

服が似合わなくて、うんざりする。

若い頃から、皆普通に腕を出し、ビキニを着ている。

私は今生では、一度も気持ちよく腕を出すことも、水着を着ることもできなかった。

そして多分、今後も、自分の顔と体を造形物として好きになることはできないと思う。

それで十分じゃない、という人もいると思うが、美意識の低い人だと思う。

前向きだろうが後ろ向きだろうが、実際に造形物として美しくないのだから、仕方無い。