朗読
仕事が終わって、終電になったので、ベットタウンにある家まで帰るのがホトホト嫌になり、
瘋癲さんに「そちらに行っても良いですか」とメッセージを送った。
「いいよ」と返信が来たので、瘋癲さんの家まで行った。(超都心)
相変わらず床は一面書類だ。それを踏みながら歩く。
瘋癲さんは完全夜型なので、私が0時半に到着しても、
彼の感覚では21時くらいらしい。元気だ。
「散歩に行こうよ」
と平気で言う。散歩して、小さくて美味しい居酒屋に行き、瘋癲さんはお酒を飲み、私も1杯飲み、瘋癲さんは塩辛とポテトサラダを食べた。
彼が散歩に行こうと言うと、大体決まった場所だ。
小コースは近辺、中コースはこのあたりまで、大コースはもっとおおきく、その先まで。
ほぼ同じところを歩く。
寝る前にお布団で、「最近朗読してないね」と言ったら、
三浦哲郎の短編を持ってきて「これがいいんじゃないか?」と言う。
瘋癲さんの良い声で読んで欲しかったのに、私に突き出すので、
目次を読み上げて、選んでもらった。
「かきあげ」を読んだ。
瘋癲さんはじっと目を閉じ、途中何度もフン、フン、と笑った。
読み終わって、「瘋癲さんも朗読する?」と聞いたら
「そうだな、また今度にしよう」と寝てしまった。
朗読する時、私たちは作家の世界に包まれる。
それはとても平和で純度の高いカプセルになる。
作家は生きていないから、カプセルの中の生き物は私と瘋癲さんだけで、
私達は透明になって、同じ方向に向かって感度を高める。
それが大好き。
凄く元気になる。
ここのところずっと調子が良い。
嬉しい。
誰に御礼を言えばいいのかしら。
世界に。お客様に。友達に。家族に。瘋癲さんに。
明日も動けそう。
今が幸せなら、明日も幸せだろうって思える。
また、会っていただけたら、嬉しいです。
おやすみなさい。
(短編と言えばレイモンド・カーヴァーが大好きよーーー!!)
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