友達+セックス
「すきでもない履歴書を書いて、すきでもない面接に行くのが、いやでいやで」
と瘋癲さんが嘆いていた。
話しているうち、元気になってきて、
「そうだ、どうせ落ちるものとして、ピクニック気分で行けばいいんだ」
と割り切り、二人でバスケットにサンドイッチを入れるだの、熱い紅茶を入れるだのと話した。
私はパソコンで履歴書を作ったり、講師の試験のリハーサルを付き合ったり、けっこうな協力をしている(と思う)
瘋癲さんは、どう思っているのかな。「僕に良くしてくれるひと」なんだろうな。
講師のリハーサルに付き合って、夜中になった。
瘋癲さんの家に泊まった。
彼は語学を教えるのにも厳密で、厳密を重視するあまり、補足が多すぎる。
だから今の研究に合っているんだな。
男の人に出す欲求は、行動要請に限る、と最近肝に銘じているので、
毎回「頭を撫でて」「背中を撫でて」「私の名前を呼んで」とリクエストして、存分に撫でてもらう。
昨日は顔を撫でてもらった。
温かいクリームのような手が私の顔を撫でて、鳥肌が立つくらい癒された。
どうして自分で撫でても気持ちよくないのに、人に撫でてもらうとこんなに気持ちいいんだろう。誰でも気持ちよいのだろうか。彼の手が気持ちよいのだろうか。
キスしてもらった。彼はあまり自分からキスしない。
で、セックスになった。
瘋癲さんは私をどう思っているんだろう。
面倒見の良い女性だろうか。
友達にセックスがついた感じ。
「好きといえば、好きかなあ」
「かなり好きなほうじゃないかな?」
「あなたは、他の女性と違うと思ったよ」
「そうだねえ、どうかな」
「言葉には、できないよ」
(全部妄想)
でもさ、それを知ってどうするの。
何が変わるというの。
何も、変わらない。彼が変わらない限り。
私が変わらない限り。
面白いなあ、行動を変えない限り、何も変わらないんだ。
一生隠し通せば、真実になってしまうように。
だから行動を整えて、整えて、生きていくほうが良いんだ。
おやすみなさい