夢の続きを

瘋癲さんはあさ10時ごろ起きる。

私は身支度を急ぐのが嫌なので、先に起きてゆっくり準備を整える。

ユニットバスの鏡で口を塗っていたら、瘋癲さんがパンツ一丁でのそっと入ってきて、

夢で、起きた

と言いながら隣の便器に座って小用を始めた。
どんな夢?
の問いかけに、瘋癲さんは丁寧に夢を語り、話が終わってもじっとトイレに座っていた。

うんちするの?
いや、僕はシャワーを浴びる

私は退出して、布団を畳んでいた。

思い出した

の声に振り返ると、全裸の瘋癲さんが部屋の真ん中に重量の無い様子で立っていて、夢の補足を語り出した

その時僕はナニナニを知っていたんだけどね、それを僕は思い出すことが出来なかったんだ、それは青い問題集でね、僕はそれで

私は布団から手を離して体の向きを変え、普通に夢の続きを報告しに現れた瘋癲さんをしみじみと眺めた。

大きな頭にぼさぼさの豊かな巻き毛。目の下や頰がたるんだ顔。Aカップくらいの胸、丸く突き出たお腹、子供が描く絵のような、短いO脚の足。脚の間にぶら下がるペニス。

鼻の形とペニスの形が同じだ。矢印の形。

鼻とペニスの形は同じものなのだろうか。

考えたけど、誰のペニスも思い出せなかった。

瘋癲さんの夢は明らかに何か焦りに関係する、注意を喚起する夢だった。

部屋の荒れ方もあまり良くなかったので、夢の内容に納得した。

その後、エクセルシオールカフェでで

あれは研究を放置していることに関する警告だな。

と言った。よく出来ました。

もっと研究向けの部屋にしたいという瘋癲さんの希望が出たので、裏紙に図面を書きながら一緒に考えたけど、まあまあ、いつもの流れになった。

リアルに考え出した瞬間、いつも瘋癲さんは一切合切が面倒になるのだ。

まあ、俺の頭の中が整っていれば、どこで書こうと同じだな。

という結論になった。そうですか。

そこに辿り着くための構想だったんだね

と言ったら、

そうだね。

と悪びれもせず、ゆったりしていた。

研究に入ったら、あんまり会えなくなるし、電話も取ってもらえない。

寂しくなっちゃうな。

私も私の生活をしっかりしよう。

おやすみなさい。