わらび餅、さらさらの肉布団
瘋癲さんの家に行こうとしたら下北沢にいるというので、そこまで行っても良い?と聞いたら、喜んでお待ちします、と言ってくれた。
19時半。
マクドナルドで待ち合わせして、王将で餃子を食べて、犬の神社へ案内され、笹塚まで歩く途中の豪邸を案内され、笹塚では大型スーパーを二つ案内され、彼の部屋の着くと23時半だった。
そこから一緒に丸い眼鏡をかけた俳優が主演しているNYの映画を観て、スペインのカオスという映画のラスト10分を観た。
瘋癲さんはこのラスト10分が好きで、私にこれを見せるのは2回目。
軽石の砂山から子供達が駆け下りるシーンが好きだそうだ。
私はエル・スールの父親役をしていた俳優がずっと力の抜けない演技をしているところが好き。特に果物をむくシーンが好き。
その後一緒に布団に入り、大好きな瘋癲さんの体にくるまった。
彼の体はさらさらしていて、あたたかくて、わらび餅でできた肉布団みたいだ。ちょっとお菓子みたいな良い香りがする。
横になったり後ろを向いたりしながら話しているうちに、彼の温かい手がお腹を降りて、そのままパンツの中に滑り込み、曲げた指が深く膣に入って、ペニスにキスしてよ、といういつもの流れで、セックスをした。
私は、セックスはしてもしなくても良いんだけど、瘋癲さんが「私の体に向かって何らかの作業をする」という行為をいつも新鮮に感じるので、拒むことは無い。
でも瘋癲さんの行為を眺めていると、私だから、抱く、のではなくて、ある基準を満たした女性だったら誰でも抱く、という感じが、強くする。
私もできれば、その感覚に移行していきたい。
瘋癲さんの手はいつもフカフカしてて柔らかくて温かいのに、ふいに力強く一気に動くときがある。
それが布団の中で私の背中に手をまわして私を抱き寄せるときと、寝巻きや下着のゴムに手を滑り込ませるときと、膣の様子を確かめてから中指を深く挿入するときと、セックスの途中で私の体位を変えるときだ。
私は抱き寄せられるときが一番好きで、大きな手が背中に回ったとき、子供に返ったような気がする。その動作の続きは子供にすることではないのだが・・・。
次の日は昼まで一緒に緑の中を散歩した。
ああ、綺麗で、平和で。
幸せで切なくなる。
瘋癲さんと緑の中を歩いているといつも、
ここでこのまま死にたいな、と思う。
そのくらい幸せを感じる。私はね。
ほんとに、「今」だけで、
次にどうなるかなんて、わからないけど。
相手に何も期待しないことが、こんなに楽、だとは。
約束なんて何もなくて、今お喋りできることが嬉しい。それだけ。
小学生の恋愛に似ている。
セックスがつくから、ちょっと重くなるのかな。
でも、本当は。
セックスがついても同じ純度でいける筈だろうな。
それが理想のような気がする、今の私には。
好きと言ったことも、言われたこともない。
でもわかる、一緒にいるとき、私達はとても楽しくて、
いつも笑いながら話していて、
お互いに、もう少し一緒に居たいなって思っていることが。
もう、少しだけ。
おやすみなさい。
#肉布団 #わらび餅 #カオス #エルスール #王将