上の弟
私は四人兄弟だ。
私、妹、弟①、弟②、の順に生まれた。
日曜日、弟①の家に行った。
そこで私は突然、おそらく花粉だと思うんだけど、急にくしゃみが止まらなくなり、大変なことになってしまった。
胡椒を散らした部屋の中にいるようだ。こんなことは初めてで、本当に困った。
せっかく弟①の賢い立派な嫁・ムー子さんが(当然仮名)スタウト鍋で煮たご馳走も、味わうどころではなかった。悲しい。
すきあらば、くしゃみが出てしまう。
租借中にくしゃみが出てしまったら、そのへん一面に吐き散らした私の租借中のものまでは、さすがのムー子さんも笑いながら片付けてはくれまい。
でも美味しいものばかりでした。お皿もテーブルセッティングも素敵で、もー、ムー子さん、ありがとう。
弟①は花粉症だ。
いつから?と聞いたら、小学生からだという。(←多分100回くらい聞いている)
「小学生の時、学校で草取りしてたら、いきなり始まって。
もう涙と鼻水で何が起きたのかわからなかった。」
と言った。
初耳だった。驚いた。
小学生の小さい弟が涙と鼻水だらけになって何度もくしゃみをしている様子を考えたら、可哀想で、涙が出てきた。(遅すぎ)
大変だったろうな。
あんな狭い家に住んでいながら、
私はそんなことなど全然どうでも良く、
史上最大に愚かな思春期の自我を、
あーでもないこーでもない、
いっそ白血病に生まれれば良かった、
などとこねくりまわしていた、
母親や妹と、金切り声で怒鳴りあってばかりいた。
あんな狭い家に、
一緒に住んでいたにも関わらず。
なんだか、すごく、反省。
本当に、どうしようも無い、バカ姉。
そういえば、お兄ちゃんやお姉ちゃんのいる友達って、本当に彼らを軽くみてたな。
そうだろうな。うすっぺらくみえたろうな。
実際、そうだもの。
まあ今反省されても、弟①も気持ち悪いだろうけど。
今や料理も仕事も出来、さらに抜群にセンスの良い健康な女性ムー子さんと生活し、彼が鼻水を拭った手ぬぐいはムー子さんが洗って干し、あるべき場所に畳まれている。
そしてそこに、弟①に似たのかムー子さんに似たのか判断しづらい、2人のごった煮というべき姿形の、健康でずっしりして、一日の殆どを走り回ってるか食べてるか「ナンデ?」と言ってるかのどれか、という小さい愛娘が1つのキノコのように増えた。
しみじみ、思った。
弟①が幸せそうで良かった。
弟って、不思議な存在だ。
可愛くて、バカだったのに、いつの間にか偉くなる。
偉くなってくれる弟で良かった。