公団のサンタクロース

クリスマスといえば、サンタさん。

私は小学校1年まで、サンタクロースという人が実在するのだと思ってました。

クレヨンでごたごたと手紙や絵を描いて、封筒に入りきらないのをまとめてヒモで縛った包みを枕元に置いておくと、朝、手紙が無くて、プレゼントが置いてある。

プレゼントの包み紙からは知らない人の匂いがするようで、その人がどこかで、確かに手紙を読んでくれている確信が全身を走る。強烈な記憶でした。

ところで、当然ですが家には暖炉が無い。

夜は玄関もサッシも鍵が掛かってる。どこから入ってくるのかと思っていたら、近所の兄ちゃん(といっても多分5、6歳くらいじゃないんだろうか)が、「換気扇から入って来るのだ」と教えてくれた。

骨を抜くのか、小さくなるのか、空気になるのか、そこのところはよく考え(られ)ず、「なるほど!!!」と納得し一件落着したのだった。

朝早くからサンタのプレゼントを抱え、近所のゆきちゃんの家に転がり込んだら、パジャマのおばちゃんとゆきちゃんが寝起きの顔のまま起きて来て、
「うちにはサンタは来ないのよ」と言った。

ゆきちゃんはわりと性格のきつい友達だったので、そのせいだろうと納得して、あっちゃんの家に行った。

あっちゃんの見せてくれたサンタのプレゼントは、明らかに私の抱えているプレゼントよりも大きく、しっかりとした箱に入っていて、さらにクリスマスの様子を浮き彫りにした大きなチョコレートがあった。子供の私には軽くA4サイズを上回るように見え、そして初めて見る、大きな凝った作りのチョコに目を奪われたのだった。

家に帰って母親に話したら、「もっといい子になればいいんじゃないの」的なことを言われた。

そっか。と納得し、プレゼントの差についてはすぐに受け入れてしまった。

今思うと、男の子並みにアホだったな、自分。