子供の脈は雨蛙

弟の家に泊りに行き、布団を2枚敷いた部屋で、姪7歳、甥5歳の真ん中に寝た。

2人は眠るまでお話をせがむので、「友達の飼っているペットの話」をした。

ウサギ、手乗り文鳥、スッポン、蛇。

2人が寝てから、弟の嫁ななみちゃんとお茶を飲んで、真夜中になってから2人の間に慎重に横になった。

左右から小動物のような、熱い、澄んだ短い寝息が聞こえて来る中で眠った。

7歳の寝息と、5歳の寝息は、違うハーモニー。

深く眠っている2人の手首を触ってみたら、雨蛙が雨に喜んで跳ねるような、ピンピンした脈に触れた。

寝ている間もこんなにピンピンしてるのは、寝る間際まで盛り上がっていたせいなのか、それとも寝ている間にも小さな身体の隅々まで気持ちよく血液が駆け巡っている普通のことなのか、どっちなのだろう、と思った。

自分の脈を取ってみたら、鳩が静かに鳴くような、アルト音域の落ち着いた脈だった。

そりゃ人生、長く生きてれば、脈もアルトになるわな、そう思って眠った。

子供は元気な訳だ、寝ている間もあんな脈なんだから。

前から、小さな子供と手をつなぐたび、その大きさといい、湿った感じとい、奥にあるやわらかい骨といい、まるで太った蛙を握っているみたいっていつも思っていたんだけど、脈まで蛙とは。