感情を切り離して

身近な人の立ち振舞いに関して感動したことがあった。

 

感情を切り離して、現状が良くなるような行動だけを取り続ける。

 

瘋癲さんもそうしている。

 

だから私もそうすれば良いのではないかと思った。

 

悲しいことについては、考えない。

 

今を、今だけをもっと、切り出して、昇華させる。

 

好きな人と居られないことを悲しむより

今何をすれば私の、今の、この場が良くなるのか、

それだけを考える。

 

瘋癲さんもそうしている。

何してるんだろう、会いたいな

って思う人は、いるそうだ

 

でももう、仕方無いそうだ。

 

私も同じだ。

どうしようもないことは、考えない。

今、できることをする。

 

どんな手を使っても、あなたに、会いたい。

瘋癲さんに、会いたい。

 

 

 

 

 

 

 

好きってなんだろう

瘋癲さんの家に行った。

久々だった。

 

真夜中12時から歩いてお蕎麦を食べて、猛烈に変わってるおじさんが一人でやってる小さな酒場に入った。

 

雨の中二人で歩いて

瘋癲さんの部屋でシャワーを浴びた。

 

長いセックスが開始されたけど、瘋癲さんは珍しく酔っていて、射精できなかった。

 

彼はセックスに関しては驚異的な体力があるので、長く突かれて、膣が痛くなった。

 

朝、セックスをして、少し寝て、身支度をしている途中彼が

また、突きたくなった

と私を布団にいざなった。

 

一回ごとに骨に響くような重い突きは、

身体の芯に届いて、

私は悲しくなる。

 

後ろから入れるとき、どうしてお尻を叩くの

と聞いたら、

叩いてくれって言った女性がいたから

と言った。

 

叩子さんとは3年付き合って、彼女が他の人とお見合いすると言ったので、連絡を取らなくなったそうだ。

 

そこまで好きでもなさそうだった。

本当に好きになった女性に対しては、遠くまで会いに行ったり、するそうだ。

 

若かりし頃、シカゴまで行ったことがあるそうだ。

 

私のことは。

まあ、多分そこそこ好き、なのだろう。

 

何度も聞きたくなった。

聞きたくなった。

私のことはどのくらい好きですか。

 

でも聞かなかった。

はぐらかされるだけだから。

だから悲しかった。

 

これも一種の片恋だよな。

 

好きってなんだろう、って、友達と話したとき

彼女は

侵食するのを許すこと

と言った。

 

私の「好き」は

「好奇心の強度」に尽きる。

彼女と話してて、そう思った。

 

もっと知りたい。

私のことも知りたいと思って欲しい。

 

瘋癲さんとはその強度が全然合わない。

だからセックスするし、楽しいけど、片思いだ。

 

朝一緒にコーヒーを飲んだ。

いつまでも一緒にいたかった。

 

好きななる人と、うまくいかないな。

 

ほんとに、うまくいかないな。

 

お見合いの会社に登録した。

 

言いますけどね、本当は、

瘋癲さんと永遠の愛を誓い合いたいですよ。

あなたが大変なときは俺だってなんとかするよ

と言われたいですよ。

僕の故郷に一緒に行こうよ

あなた、父に会う?

って、言われたいですよ。

あなたは特別だからね

あなたとはなるべく長く居たい

って言われたい。

 

でも言われない。

 

だから仕方ない。

 

 

 

会いたいって、なんだろう?

会いたいって、結局なんだろう?

何が起きているんだろう?

 

30分だけでも会いたいっていうのは、話をしたいんだ。

触らない、話もしない30分だったらどうだろう。

 

ただ一瞬に歩くだけで嬉しいかも知れない。

 

「話すこと何もないけど?」

と言われて、

「いいよ!黙ってて」

と言えるほど強くない。

 

やっぱり

「あなたがいるのは、いいね」

ってムードの中に入りたいんだ。

 

あなたと時間を過ごすのは、いいね

 

いいね

ってのは

安らぎ

楽しさ

癒し

 

かな

 

力を抜きながら、わくわくできる。

 

今何してますか。

会いたいなあー。

 

よし、自分のことをしよう!

自分の中で見つけよう。

 

 

 

 

 

丸腰

私から会いたいと言うのを止めると

瘋癲さんから連絡が来るようになった。

 

恋愛本にもそうやって書いてある。

その通りになるんだな。

私の気持ちは変わらないのに、笑える。

 

ただ私は、邪魔そうにされるのが嫌だから、腹をくくっただけだ。

 

そんな訳で今日も瘋癲さんから連絡があって、瘋癲さんの仕事場の町まで夜ご飯を食べに行った。

 

私の職場から1時間かかった。

 

私たちは海の匂いが生ぬるく押し寄せる裏道で、安い居酒屋に入り、小さなゴキブリがフナムシかと思う数と自由度でカウンターをうろついているお店でご飯を食べた。

 

普通の女性ならアウトだし、虫が嫌いな人、または清潔好きな人もアウトだ。

 

でもゴキブリたちは注意深くカウンターの奥を歩き、私たちの邪魔をしなかった。私は虫を観察するのが好きなので、皿の下から現れた彼らが、大きく張られた触覚を細かく震わせながら左右に動く様子を見ていて飽きなかった。

 

普通の女性なら

「こんな店!あたし大丈夫にされてない!!」

って言うだろう。

 

私は、別に良い。

瘋癲さんと話が出来れば良い。

会話が聞き取れるくらいの店なら。

 

大事にされてなくても良い。

こうしてたくさんお話しできるなら。

 

今回で会えなくなるかもって思いながら会う。

 

明日仕事があるから、今日はあなたの家には行けないけど、と最初から鍵を刺してきた瘋癲さんが、

「明日僕を10時に起こしてよ」

と言った。

「??電話で?」

「あなたの家で」

「明日仕事があるんでしょう、帰りなさい」

 

瘋癲さんは以前私と楽しく時間を過ごしていたら、仕事先の約束をすっぽかしてしまったことがある。

 

またそんなことにはしなくなかった。

 

あなたの家に帰りなさい。

よく、言えましたね、わたし。

 

あっさりと駅で別れてきた。

わたし、振り返らない。

 

着いただの、楽しかっただの、メールもしない。

 

瘋癲さんとはそのくらいじゃないと、溺れてしまう。

好きだから。

 

わたしの

好き

は。

重いんです。

 

あなたの負担にならないように

極限まで間引きしながら。

 

おやすみなさい。

 

 

 

 

二択、ただの二択、やむを得ない二択

昨日クリムト展に行って、クリムトが次々モデルと関係を持ち私生児が14人いたというくだりに驚愕し、そこから瘋癲さんの元恋人について考え続けてます。

 

元カノさんは、瘋癲さんとの愛が深まって、自分の年齢も差し迫って来て、彼との子供が欲しくなった。

 

瘋癲さんは穏やかで、誰にも指図しない。稼ぐ気が皆無の彼だけど、お金さえなんとかなれば、生活はできる。彼女の安定した稼ぎだったら、子供も育てられる。

 

一緒にいて平和で、楽しくて、大好きな彼と、一生暮らしたかったのだろう。

 

そして瘋癲さんが徐々に愛を寄せてくる様子を見て、今の私たちの関係なら彼も決意してくれるのではないかとありがちなファンタジーを描いてしまったのだろう。

 

どの女でも駄目だった。この女に出会うまでは。

 

この物語は真面目すぎる女性のファンタジーだ。

 

ファンタジー

 

なんだか自分が断られたみたいに残念だ。

 

未来を固定する契約を結べる別の男性を探すか、

 

瘋癲さんの望む通り、恋人の関係を続けるか、

 

あともう一つある、

瘋癲さんの気が変わるのを信じるか。

 

最後の一択はリスクが高い。

冷静な人なら二択に尽きる。

時間が無いなら尚更だ。

 

彼女は他の男性を探す決意をして、別れの言葉無く瘋癲さんと連絡を絶った。

 

愛してた人を、自分の人生のために切り離していく。

 

私からすると、ちょっと信じられない。

 

私が15年も暮らした元彼と別れたのは、ロング二股がわかって、本当にどうでも良くなってしまったからだ。

 

彼女も瘋癲さんの対応を見て、一気に覚めてしまったのかもしれない。

 

この人、適当に優しいだけだったんだ。

 

私のことは、どうでも良かったんだ、誰でも良いんじゃない。何よそれ。

 

そうわかってしまったのかも。

 

でも瘋癲さんも同じだ、呑んでくれなければ別れるという最後の欲求を断るって、凄い。

 

皆、しっかりしてる。

本当にしっかりしてる。

 

人生の目的がはっきりしてる。

 

私の人生の目的って、なんだろう。

 

フーム、考えちゃう。

 

でも瘋癲さんは素敵だと思う。

素敵だし、偉いと思う。

 

次回はもう会えないかも、って思いながら、会うようになった。

 

彼は私との連続した時間を望まない。

 

いいんだ、それで。

いつ終わっても良いように、もっと良い時間に。

 

本当に、あなたが大好き。

 

 

 

しばしの我慢

瘋癲さんが居なくなると、寂しいな。

 

でもこの寂しさはヤマがあるから、ヤマを越えれば、大丈夫。しばしの我慢じゃ

 

10年以上不倫をしているお客様(50代女性)が面白いことを言っていた。

 

会えなくて会えなくて寂しくて、でも一生懸命自分の生活を一人で満たしていったら、月1度くらいの逢瀬で我慢できるようになった。

今は月に1度会えないときもあるけど平気になった。ママと同居するようになって、日常の寂しさが無くなったからだと思う。ママが死んだらまた寂しくなっちゃうのかも知れないけど。

 

誰かと同居することで人恋しさが半減するんだ。

そんなもんなのかな。

 

瘋癲さんのモトカノの話はかなり引っかかった。

そして思った。

そんなに好きな彼女さんだったら、うまく立ちまわれば、

「そうだねえ、そのうち考えるかあ」とかなんとか言いながら、上手にごまかしながら付き合えたかも知れないのに。

 

そこまで考えて気がついた。

それ、私の元彼じゃない。笑

「同居して2,3年で籍を入れますから」って両親にも挨拶に来て

結局15年引っ張って、ロング二股が発覚したんだ。

 

だからやっぱり瘋癲さんは偉い。

嘘をつかないところが偉い。

 

元カノが休暇で旅行に行くときに

「旅行から帰るのは○日だけど、色々やることがあって2.3日連絡取れないから」

と連絡が来たとき、瘋癲さんには彼女の気持ちが透けて見えて

「もう僕とは連絡を絶つんだな」

とわかったそうだ。

そのまま彼女から連絡が途絶えて、瘋癲さんも連絡しなかったそうだ。

 

よく我慢できるなあ・・・・

「世の中はうまくいかないよ」

と瘋癲さんは寝ながら言った。

 

「彼女は付き合うときに子供は要らないって言ってたのになあ」

 

残念だったね。

 

瘋癲さんの「すき」は、小学生くらいの「好き」かな。

親が引っ越したら、もう終わりなんだ。

 

不思議な「好き」だな

綺麗な「好き」だな

 

おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生活が駄目なら他の人へ

昨日珍しく、珍しく瘋癲さんから電話があった。

私の家の地域で仕事が終わり、

居酒屋で一人酒を楽しんでいるところだった。

陽気な声だった。

これから、そちらに行こうか?

 

瘋癲さんから電話があることも、行動の提案があることも、珍しい。

大至急掃除しました。

 

駅に迎えに行くと、瘋癲さんが

「誰かな」

と言いながら私の腰を引き寄せた。

私はそういった腕の使い方をする瘋癲さんが大好き。

 

買い物をして家に行き、瘋癲さんが焼きそばを3玉、ソースマシマシで作り、

私はなめこと豆腐の味噌汁を作った。

 

瘋癲さんがシャワーを浴びるとき、抱きしめられて首にキスをされ、

玄関前で身体を触り合ううち、立ったまま後ろから挿入された。

素敵だった。

 

寝るときにセックスをした。瘋癲さんの腕は私を立体的に扱う。

エストやヒップのまるみを何度も撫でるので、

私は彼といると、自分のスタイルが良いような錯覚を覚える。

 

終わった後も片手で私を抱き寄せて、身体中を撫でてくれる。

 

私はこのまま死なせてくれえという気持ちになる。

 

そのうち、元カノの話になった。

わんさわんさといる元カノの中で、初めて登場する人だった。

 

多分私の前の恋人だと思う。3年くらい付き合って、

「あなたの子供が欲しい」と言われて瘋癲さんが断り、連絡が途絶えたそうだ。

 

瘋癲さんはめずらしくはっきりと、

彼女のことは好きだったからね

と何度も言った。

 

彼女は他の人の子供を懐妊できたかな、

と聞いたら

 

そんなこと考えたくもない、彼女のことは好きだったからね。

 

 

僕はお金も無いし・・・・、と言ったら、

「お金のことは考えなくていいから」と言われたそうだ。

 

それでも断ったそうだ。

瘋癲さんは気づいていないかも知れないけど、これは後味が悪い。

お金の心配はしなくていいといったのに、断るなんで、これで根本の原因がお金じゃないことがわかってしまった。

それは傷つくよ、女性にとって。

僕は僕の望む形でしかあなたと居たくない、ってことだもの。

それって、結局、嗜好品だよ。

 

その時の彼女の苦虫を潰したような顔は忘れられない、いまでも覚えている、

と言っていた。そりゃそうでしょう、辛かったと思うわ、彼女さん。

 

そんなに好きな相手でも、結婚や契約は嫌だったらしい。

「穏やかな人でも、穏やかじゃなくなってしまうような環境になることは、よくあるからね」

 

猫の例えの話をしたら、

「僕はあなたをそんな猫のように思ってはいないよ」

と言ったけど、

 

でも、実際やっていることは、

 

「絶対に自分の家猫にしないよう注意しながら野良猫と接する猫好き」

 

と同じだと思う。

 

気が向くと撫でまくって可愛がっているけど、野良猫が病気になっていても、家には入れないし、病院にもつれていかない。

 

でも、猫が好きで、猫といると癒されるのだろう。

彼にとってはそれが「好き」なのだろう。

 

私は瘋癲さんの話を聞きながら、

彼の好きは私の好きとは根本的に違うんだな、としみじみ思った。

 

誰のことも助けない。

助ける用意もしていないし、するつもりもない。

 

瘋癲さんがドアを閉ざした自分本位な猫好きでいる限り、

私は家にいれてくれる、病院につれていってくれる、本物の猫好きを探さなきゃ駄目だと思った。

そして気軽に沢山撫でてくれる瘋癲さんちにも遊びに行けばいいんだと思った。

 

瘋癲さんは私との生活を望んでいないし、私と一緒の空間を持つ未来も望んでいない。

 

未来と生活を望まない人に、未来と生活を期待してはいけない。

 

未来と生活は別で探そう。本当にそう思った。

 

瘋癲さんは、私のことをいつか特別に思ってくれるのではないかと夢見ていた。

何度も、何度も、何度も、何度も。

 

でも、それはただの私の夢で、夢の中では生きられない。

瘋癲さんには何も言わずに、私は他の人を探そうと思った。

 

そんなことをしても、瘋癲さんは何も気づかないだろう。

 

野良猫好きは、目の前から猫がいなくなれば、あとはどこでどうしていようと全く関心が無いのだから。

 

おやすみなさい。